著:Saika、松村歩美、竹中孝行
先日6月8日10時から、医療法人茜会 昭和病院(以下、昭和病院)の公開インタビューを開催いたしました。本日はその内容をレポートいたします。
昭和病院は5月17日の「第1回 働いてみたい!薬系企業アワード」にてハピハピ賞を受賞されました。当日ご覧いただけなかった方にも、昭和病院の素敵な取り組みや、お話してくださった小西様、川崎様のあたたかな受け答えをお楽しみいただけたらと思います。
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6月8日(月) 10時~11時 公開インタビュー
昭和病院人事部:小西 様 薬剤部:川崎 様
MC:清水さん(薬学部5年)、松村さん(薬学部6年)
サポート:竹中さん
(以下、敬称略)
Section1:賞状はラミネートして飾っています!
松村:ハピハピ賞を受賞されたご感想はいかがですか?
小西:それが全然意識していなくて…
川崎:無欲の勝利かな(笑)
小西:ハピハピ賞は「地域に貢献している賞」ということで、伝えたいことが伝わって良かったと思います。今までの取り組みと、新病院に向けた取り組みが評価されたのかな?と思います。
松村:退院時に花束をお渡ししていると聞いて、とても素敵だなと思いました!
小西:(昭和病院としては)花束のことが驚かれるとはさっぱり思っていなくて…!意外なところで評価されたな!という気づきがありました。
松村:ちなみに花束はどのようなものですか?
川崎:季節の花がしっかり入っていて、カラフルできれいな感じです。うちの病院は特に回復期や地域包括が専門で、(患者さんが)ご自宅を長くあけることになってしまうので、帰ったときにお花があると気分的にも安らいで、いいことだと思っています。
小西:急性期だと入院も短期間になってしまいますが、本病院は主に慢性期・回復期の病院ということもあり、スタッフと患者さんとの関係性が長くなります。その点で、花束やメッセージカードを渡すことに意味があると思います。そういった心遣いが、学生さんの心に響いたのかなと感じました。
チャット:花束や地域連携をごく普通にされていて、とても素敵だなと感じます!
松村:賞を取られてからの変化はありますか?
川崎:賞状をいただいたので、ラミネートして薬剤部に飾っています。今年からさらに地域に根付いた貢献活動をしていこう!と行動していたので、とても励みになっています。
Section2:一番伝えたいことについての質問が多く嬉しかったです!
清水:今回はどのような経緯で参加してくださったのですか?
小西:コロナの影響で、説明会なども中止になり、なにかしなければ!と、九州オンライン合説に参加したのがきっかけとなりました。そこでの感触が悪くなかったので今回も参加してみました。
川崎:スライドは新病院のことや、今後やっていく内容を盛り込む形にしました。
カンファレンスや服薬指導の写真も入れて、学生が実際の活動をイメージしやすいようにしました。
松村:なるほど!二回目だったのですね。前回の合同説明会と今回の説明会について、質問の内容が変わったなと思う点はありますか?
川崎:今回は、業務的なところや、地域とどのようなつながりがあるかなど、一番伝えたかったところを質問でも聴いていただけて良かったなと感じています。
Section3:薬剤師会にお話をしに行って薬薬連携を進めてきました。
日々試行錯誤しています。
チャット:退院時の薬薬連携についてお話がききたいです。(薬学部5年)
川崎:下関薬剤師会(*1)へ退院される方の情報提供と、双方向で連携しましょうとプレゼンテーションしに行きました。具体的には、(地域の薬局さんと)重複投与や新規追加のお薬の情報のやり取りなどをしています。
(*1:山口県下関市の薬剤師によって構成される団体)
松村:薬剤師会にプレゼンテーションをしにいかれたとお聞きしましたが、その中で苦戦されたことなどありますか?
川崎:いまだ苦戦中です(笑)在宅をやっている薬局さんだと、マンパワーなどの問題で、返信ができなかったりします。今、下関は 薬剤師会と病院薬剤師会が合同で月一回勉強会を行っていて、その中でフォローしたりしています。
清水:大阪の病院さんに見学に行ったりするのですが、薬局と病院との交流をあまり聞かないので、あぁ、さすがハピハピ賞、とおもいました!
川崎:2020年4月の調剤報酬改定で、がん診療をしている病院は必ずレジメン(*2)を公開して、近隣の処方箋を受ける薬局と症例検討会をしましょうとなったので、きっと今後増えていくと思います。
(*2レジメン:特にがん化学療法を行う時に、投与する薬、輸液、投与量、投与速度などをかいた計画書。)
チャット:この前まで実務実習にいっていて、薬局と病院の連携が取れていない、双方力を発揮しきれていない部分もあるのではないかと感じ、薬薬連携に興味をもっています。その中で、お話を伺えてとても素敵だなと感じました。
病院薬剤師の立場から、薬薬連携を進めていくにあたって気を付けていることや、意識していることがあったら教えていただきたいです。(薬学部5年)
川崎:病院では、院内の医療安全委員会が積極的に活動しています。インシデント(*3)やヒヤリハットなどを防ぐために、ほとんど一包化で対応しています。ですが、退院してご自宅に戻られる際は一包化ではなくPTPシートのままお渡しすることになってしまうので、何を飲んでるのかわからなくなり、服薬アドヒアランス(*4)が低下してしまう、という声を薬局薬剤師の方からよく聴きます。そういった小さい簡単なところからでも、薬局と病院でコミュニケーションがとれたらなと感じています。
(*3インシデント:誤った医療行為のうち、影響がなかったもの。もしくは実施される前に発見されたもの)
(*4:アドヒアランス:患者さん自身が医療行為(この場合は自身の薬)について理解し行動すること)
Section4:病院にオープンスペースを導入予定。
課題は空間をどのように配置するか。
松村:薬学業界にアピールしたいことはありますか?
川崎:新病院のほうでは、地域とともに、ということでオープンスペースを作ろうと考えています。カフェのようなものだったり、こども食堂だったりとか、医療とは少し離れたスペースを構想しています。地域の薬局はハブ(拠点)的な機能を持ったほうが良いと考えているので、病院でも、地域の皆さんと一緒にコミュニケーションがとれるような環境ができたらいいな。
松村:薬局さんではよく話を聞くのですが、病院さんでは聴いたことがなかったのですごい素敵だなと思いました。病院では、衛生面などで課題もあったりすると思うのですが、そのところについてお聞かせください。
川崎:そうですね。建設途中なのですが、感染症のことなどもあって まさに 今、空間の使い方について悩んでいます。というのも本院では入院患者さんの平均年齢が80才を超えているので、病院の環境でお子さんたちを招き入れるとなるとリスクがあります。そういったところを、今、一つ一つ考えているところです。
竹中:薬局でのオープンスペース作りでは、地域の方や学生さんを招いてともに作っていっているところが成功しているのかな、と思っています。
Section5:多職種連携で大切なのは、
土台として専門知識を持っていること
竹中:病院での多職種連携で工夫されていることなどありますか。
川崎:病棟専任の薬剤師がいるというのと、入退院時カンファレンス(*5)には必ず参加しています。回診にもついていくので、意識はしていないけどしっかり連携がとれているのかなと思います。
(*5カンファレンス:患者さんに関わる人たちで行う会議のこと)
松村:私自身が病院実習に行ったときに、(薬剤師が)カンファレンスや回診に入っても上手くコミュニケーションがとれていない場面を何度か目にしました。その溝を埋めて関係を作っていく際に、意識していることや取り組んでいることがありましたらおききしたいです。
川崎:回診では職種横断的に患者さんを診るので、まず前提として薬学的な専門知識を持っていることが大切です。そのため、当院では専門の認定を取ってもらってからというのを基本に考えています。
カンファレンスに関しては、事前にどのような患者さんなのか薬剤部の中でチームカンファをしてから その意見を代表して持っていく形をとっています。
お忙しい中、約1時間のインタビューを受けてくださった昭和病院の小西様、川崎様、とても濃く、そして大変貴重なお話をありがとうございました!
薬剤師としてはたらくうえで大事にしていることは 地域の住民のことを考え、常にアンテナを張り巡らせること。みんなで学んでいけるような環境づくりを心がけている、ということをお聞きし、まさにこの一言が「ハピハピ賞」たる所以なのかなと思いました。
新病院が来年開設予定ということで、おたのしみに☆
※昭和病院さんHPはこちら→https://www.akanekai-showa.com/recruit/%e6%8e%a1%e7%94%a8%e8%a9%a6%e9%a8%93%e3%83%bb%e8%a6%8b%e5%ad%a6%e4%bc%9a%e7%ad%89/
少人数であれば病院見学も可能とのことなので、是非チェックを!
※病院薬剤師に興味がわいた人はこちらもチェック→https://www.fujitv.co.jp/unsung/